過日、<DAILY by LONG TRACK FOODS>の馬詰(うまづめ)さんと、師匠である美術作家の永井宏さんのお墓参りにいった。<BRANDIN>を教えてくれたのは永井さんだったから、活動の前にちらっとだけでもご挨拶をしたかったのだ。
馬詰さんの運転する車の道中で、15年前のお葬式のことをふと思い出した。号泣していたわたしの背中を「みもちゃん」といって、力強く撫でてくれた馬詰さんの手はゴツッとして、「ああ、手を動かしてものを作っている人の手だな」と思ったことを。遠くにいる先輩だと思っていたけれど、時間をかけて、今ではおねえちゃんのような存在になった。人生の師のようでもある。
お墓の前でお線香に上手に火がつかず、ゲラゲラ笑って楽しい雰囲気のまま師匠にバイバイ。その日は波がよかったので、海沿いを波チェックしながら帰宅した。馬詰さんも長年のサーファーなのだ。その日、車内から波チェックをしながら「結局、決断をするかしないかなんだよね」という話になった。覚悟があるかどうか、みたいなことで、覚悟を決めれば流れが変わってくるんだよ、というような話だった。ここ最近ぼんやりと考えていることがあり、体の中のライトが、一瞬だけ点灯して光ったような、そんな不思議な感じがした。
2012年の1月15日に「個人事業主になる!」と決めて、税務署に事業登録にいった。『いい子の日』みたいでかわいいかしら、と単純な理由だった。翌月に娘を妊娠するなんて思わずに。今、自営業で頑張っている同世代(40代後半と50代前半)を見ても、偶然だが、2010年前後に独立したり会社を起こしたり、店をはじめている人がかなりおおい。いちばん動きやすい世代だったのだろう。わたしの場合は、その年の秋に娘を出産して、クソミソになって子育てをするという大仕事があった。タイパンツは「細く長く続けること」と、心に決めていたので、毎年悲しい数字の確定申告が続いたけれど、それでも数字を見ること、そして人に見せることが大事だと思っていた。売り上げは低いけど、志(こころざし)だけは高かったのだ。そうやって、やっと今スタート地点に立った気がする。
子育てこそ立派な仕事で、あれを頑張れたら、この先なんでも頑張れるとおもえるくらいだ。薄給(はっきゅう)どころか無給だし、24時間戦えますか?(栄養ドリンク『リゲイン』のCMのフレーズです!)だし、365日休みなしだった。命も時間も精神も注ぎ、命懸けで働いた気がする。これを読んでくださっている子育て中の方は、どうぞ今に自信を持ってほしい。
「49歳か、まだまだ若いね」って、10年後の自分はきっと言うだろう。誰と比べるでもなく、いつでも過去の自分とだけ、比べたい。未来の自分なんてあんまり想像しない。今の決断が未来のわたしを作ってゆくんだ。むつかしそうでも楽しそうなほうを、あぶなかしそうでも気持ちの良さそうなほうを選ぶ。そういうものに、わたしはなりたい。