娘が好きな「RADWINPS」というアーティストの曲を一緒に聴いていたときのことだ。
この恋に僕が名前をつけるならそれは「ありがとう」
という歌詞が流れる「me me she」というナンバーがあるのだが、娘が「どんな恋愛したらこんな詩を描けるんだろうね!」と言うので「妄想でも詩は描けるよ!」と言ってみたが、反応薄めだった。そっか、妄想じゃダメか。これから高校生に向かってまっしぐらの中二なので、夢と希望はすべて現実に落とし込みたいのだろう。いいね、確かにママもそんなことばかり考えていた。
夫と出会う少し前にお別れをした男性がいて、「なんだあいつ! 恋愛はしばらく懲り懲り!」と思っていたのに、夫に出会ってすぐに付き合うことになった。夫は当時、仕事も生活もうまくいかず『しょんぼりくん』と名付けたいような、そんな時代だった。お顔に縦線がはいったような夫がなんだか妙にツボだった私は「今のあなたにぴったりなバーがあるから、一緒にいきません?」と誘ったのが、新宿三丁目にある『どん底』だった。それが、たぶんほんとうに最初の方のデートだったはず、という話を先日<BRANDIN>の店主のひろみさんに面白おかしく話していた。すると、「どうしてミモちゃんは、二十歳でそんなお店を知っていたんですか?」と聞かれた。どうしてでしょうね、ここではかけません!笑
いつかネタになると思ったのだろう、『どん底』の看板の前で記念撮影もした。夫は髪を結べるほどの長髪で、今なら絶対に着ないであろう、長くて重くて、ザ・イングランド!って感じの可愛いダッフルコートを着ていた。当時は、スニーカーも黒を履くような、真っ黒なコーディネートの人だった。腕も骨折していて、ギブスに三角巾。私は安室ちゃん風の厚底ブーツにメッシュでロン毛の二十歳。そんな話をしていたら「ご主人は、きっと目の前に天使が現れたって思ったでしょうね」とひろみさんが言ってくれて「そうだと思います!」と言ったけれど、夫がそう思っているかは謎。たぶん思っていないとおもう。
出会ったときから、たぶんずっと夫を振り回している。夫の意見はあまり聞かないし、ずっと反抗期。家事もそんなにしないし、すべてが嫌になって塞ぎ込んでしまうこともある。配偶者がわたしだと、夫は苦労も多いはず。この間、夫が「94歳までは生きないと」と言うので「中途半端な数字を目指してるんだね」と言ったら「女性の平均寿命が88歳だから、そこに6歳足すと94歳なんだよ」と言っていた。心配性で、いつも色々なケースを考えている。わたしが88歳まで生きるかどうかなんて、わからないのにね。