2026/07/26

レス・バゲージ、モア・コンテントメント

ミシンの仕事とフジロックの配信と、家族の野暮用の送迎に次ぐ送迎で、大忙し。気がついたら一瞬で夕方って感じだ。
昼間、友人のSくんからライン。「Yuuf!!」ときたので「もちろんみてる!」と打ち返した。Yuufは、音楽好きのSくんが教えてくれたアーティストだ。教えてもらってPVを観たことがあり、お洋服の刺繍が印象的なアーティストだった。フジロックの衣装も、やはり刺繍がほどこされていた。こだわりなのかもしれない。波や葉っぱなど、シンプルなモチーフがひとつ、おおきく入っている。白っぽいシャツに同系色の刺繍の人もいて、あれはあれでなかなか好みだった。
職業柄もあるが、ミュージシャンの服をみるのがものすごく楽しい。サイズ感とか、風がこういうふうにはらむんだなとか、アームホールは大きいのが好きなんだなーとか、タックが2本も入ってるパンツでこんなに細いってことは、ウエスト何センチなのかなーとか。クソ暑くても革ジャンを着たいこだわりとか、すごくいい。その人の生き様というかスタイルなわけで、いいねえ、と眺める。Tシャツなのか、それともシャツなのか。無地なのか、メッセージTなのか、柄なのか、コットンなのかリネンなのか。お靴はなんなの? すべての選択が個性で主張で、ほんとうにおもしろい。誰もが、誰にも似ていないのが気持ちがいいし、格好いい。
夕方、仕事を中断して、Kちゃんをピックしてから由比ヶ浜の『TALE』へ。友人のイベントに顔をだした。「暑いし車にしようよ〜」と言ったのはわたしだが、帰る頃になって、車じゃなかったら心が折れるほどの豪雨になった。19時からの藤井風のライブを意地でも観たかったので、めげずに近くのコインパーキングまで歩いた。ゲリラ豪雨みたいな雨だったので、駐車場はまあまあ冠水していた。裸足になろうかな、と一瞬思ったレベルだった。車で本当に良かった、車ありがとう。急いで帰宅したらライブはギリギリ間に合って、判断が正しかった自分を褒める。お気に入りのカンペールのレザーサンダルが濡れたので、つま先部分には小さなタオルを詰めて、全体は、左右それぞれにおおきなタオルでそっと包み、ずぶ濡れになったワンピースを脱いで、最後に手を洗った。で、ビール。
藤井風のライブ、圧巻だった。ピアノのみならず、サックスもめちゃくちゃ上手だった。MCで印象的だったのは「満足することに上手になりましょう」という言葉だった。「小さなことに満足して、幸せになってください、それだけです本当に」と彼が言ったとき、あまりにも心に響くものがあって、ちょっと苦しいくらいだった。「レス・バゲージ、モア・コンテントメント」と言っていた。余計な荷物やいらないものを手放すことで、満足して、満たされよう、みたいなニュアンスだろうか。
ものを作る仕事をしていると、「もっと効率よく縫えればなあ」とかすぐ考えてしまう。でも、作家として、根源として忘れてはいけないことは、自分も、お客様も、心が満たされるものをつくりたいって気持ちだ。そんなものは、効率よくなんて、つくれるはずがない。そのことは、手をうごがしてものを作っている人ならきっと、みんな痛いほど知っている。これまで、レス・イズ・モアという言葉がずっと好きだったけれど、レス・バケージ、モア・コンテントメントも、心に留めておきたい。