湘南の夏、8月がやってきた。海岸線を飛ばすだけで気分もあがる。RIP SLIMを聴きながら茅ヶ崎に向かい、<BRANDIN>では山下達郎のアルバム『BIG WAVE』を流し、帰りはサザンオールスターズを聴いて帰る浮かれ様。地面から2センチくらい浮いていた感じ。今朝はそんな自分をクールダウンさせるように、薄曇り。最高気温も29度だという。
土曜日は茅ヶ崎の花火があった。友人のKさんが「マンションの屋上からみよう」と声をかけてくれて、夕方に娘と夫も<BRANDIN>へ。おなじようなタイミングで、都内から兄と奥様もご来店。何の連絡もなかったのでびっくり。店主のひろみさんにはよく家族の話をしているので「兄です!」と紹介。
奥の部屋に入ってきた兄は、レコードを観て「『BIG WAVE』なつかしいな。中学生のときにこの映画をみて、ぼくは波乗りをはじめたんだよね」と言っていて「えーそうなんだ!っていうかこれ映画のサントラだったんだ!」と盛り上がる。「中学生だったから、移動は電車じゃない? だからボディーボードからはじめたんだよね。当時はブギーボードって呼んでたはず。モーリー・ブギーね」と兄。「わー、めっちゃ懐かしいね!」と盛り上がった。
わたしと兄は7歳ちがう。兄は10代からサーフィン、ビリヤード、バイクはベスパ一択とこだわりがあり、好きなものがはっきりとしていた。歳の差もあったとはおもうが、いつもやさしかった。今はすっかりおじさんになったけれど格好が良くて、自慢の兄だった。町田市にある和光高校を選んだのも兄が通っていたからだし、サーフィンも兄が宮崎まで連れていってくれて、その影響ではじめた。長男で、両親の介護に関してもいつも誰よりも奔走している。四人兄妹、時にぶつかりつつも仲がいいのは、間違いなく兄のおかげ。
その日はマドラスチェックのメンズシャツを試着してくれた。兄のために仕立てました、というくらいに似合っていて、お買い上げ。アロハシャツを脱いで、お着替え。ブルックスブラザーズのシャツの修理品も持ってきてくれた。いつも、手土産を持ってやってきてくれる兄で、土曜日はキンキンに冷えたカールズバーグを手渡してくれた。「ミモはサッカーが好きだから、限定のサッカーのイラスト缶!」と。ビール党の宮治さんにもお裾分け。開襟シャツ好きの宮地さんからも「シャツ似合ってますねえ」なんて言われていた兄、賑やかな夕方。
先日のFM横浜のラジオを聴いてきた、というお客様もいらした。「BRANDINのウェブサイトで知ってきました」という方も。みなさん不思議そうにタイパンツを試着してくれて、履き心地を気に入ってくだったようで、買って帰ってくださった。元同僚も何名か、本当に感謝。材木座でコーヒースタンドを営む店主も来てくれた。デニムのお直しと、店で使っているというエプロンの修理。みなさん、酷暑の中本当にありがとう。感謝の一言。
場所を構えて待っているのは、実にたのしい。やってくる人の視線の先は様々で、人はみたいものをみている。タイパンツを見る人、レコードを見る人、本棚を見る人、修理の依頼の人は、修理品を広げて見せてくれる。
印象的だったことがひとつ。娘が昨日の朝、こんなことを言った。「ママの場所も、<BRANDIN>も、音が流れているっていいよね。会話がとぎれたときも、音が流れていると気まずくならないなーっておもった。音楽があるってすごいね」と。わたしが室内空間にこだわるのは、もしかしたら、そこがものすごくおおきいのかもしれない。搬入時も、まずレコードを選ばせてもらう。そして、部屋にレコードを持ち込み、プレーヤーの電源を入れ、針を落としてから設営をはじめる。
たとえ集客力が足りないとしても、空間はぜったいにひとりでつかいたい。それも含めて自己表現だと、信じているからだ。音楽、照明、光、作品、そこに作家が立ち、お客様が来てくれることで、はじめて物語がはじまる。だからこそオンラインでものを売ることが、じぶんにはとても難しい。とはいえ遠方の方にもみていただきたいし、この活動は両輪で走ろうと決めたので、決めたことはまっとうしたい。同じく月に一度の更新ペースで、できることはがんばるって決めている。